yasuhide onoさんの話(2/2)

2016/07/30

 

 

cite’ : 話は飛びますが、使われている石は、インドやネパールで直接採掘している方々から譲って頂いているのですよね。

 

ono : 石が好きならインドに行った方がいいとオーストラリアの知人に勧められて、それからですね。現地ではいろんなクオリティーの石が見れますし、日本で見れる量の何百倍っていう量の石を見れるんですよね。

 

 

cite’ : ネパールやタイへは?

 

ono : ヒマラヤ水晶が有名なんですが、水晶って世界中で採れるんです。日本でも採れるし、身近な石なんですけど、ヒマラヤ水晶の多様性が面白くて、透明度だったりとかが全然違うんですよね。

同じ石でもクオリティーの違いは大きくて、一度良い石を見てしまうと下げられなくなってしまって。だからわざわざネパールまで行くんですよね。あとはアンティークも探しに。

タイはアンティークもそうなんですけど、ローマングラスはタイにいるアフガニスタンの人たちから頂いたり。あとは山岳民族とかが作っているものが凄く面白いので、そういうところも含めて行っていますね。

 

 

 

cite’ : 現地の環境とかも含めて、物を手に入れるだけじゃなくて、何かしら得られることがありそうですよね。初めにonoさんに興味を持ったのはそこも大きかったんですよね。実際に向こうに行っているっていうのは説得力があるなあと思って。

 

ono : 体験じゃないですけど、自分の眼や脚って大事じゃないですか。それはもう野菜とかとも同じなんですよね。どこで誰が作ったかということであったりとか、無農薬だったりとか。そういうところと全部が通じるというか。だから自分の脚で行くっていうことには拘りたいんですよね。

 

 

cite’ : ちなみにさきほど聞き忘れたんですが、ゴールドの台座の曲線の部分って自分で作っているのですか?

 

ono : インドに行った時にある工房に自分の机が一つあるのですが、そこでずっと作っています。ただ、サンプルを作って自分の中の彫金の師匠のような人にお願いする部分もあります。だからインドにいるときの方が日本にいる時より忙しいんですよね。向こうの方が道具が揃っていて、制作の環境がいいんです。

 

 

cite’ : 石の研磨もされるんですよね。

 

ono : そうですね。月の形の研磨をするのが大変だったりですね、それを一緒に向こうの職人さんたちとやるんです。そうしたら向こうの職人さんたちに仕事も振れて、そこで一つの経済が回るというか、それも面白いと思っていて。

あとは、新しいことをやる時は、彫金の師匠に毎回聞きに行くんですよね。それでどうやったらいいとかそういうことを話し合って作っていきます。

シルバーの作品も、ああいったテクスチャーのものを作りたいなあと思っていて、どうやったら作れるか話しながら決めていくところから始まるんですよね。

 

 

cite’ : シルバーの表情はやはり時間の経過とか堆積とかというところからなんですか?

 

ono : 時が経った壁だったりとか。そう言った表情が出せるかが大事だったんですよね。それが去年ようやく出せるようになって、作品として展開することになりました。

石などの自然物もそうですが、同じものは作れませんし、偶然性とか、一点ものじゃないですか。プロダクトと同じようにたくさん作れるんですけど、一つとして同じものがないというか、そういうところに惹かれるんですよね。

 

 

cite’ : そのようにしてこれからも新しい作品が広がって行きそうですね。

 

ono : アクセサリーに関しては、編む行為から広がって、いろんなことをやっていこうと思っています。

最近は展示という形で見てもらっているので、色々な作品に挑戦したいなと思えるようになったんですよね。だから真鍮を編むような作品だったりとか、彫金のシリーズとかもそうですし、自分の持っている技術の中でいろいろと発展させながら結びつけていきたいなあと思っているんですよね。

 

 

 

 

cite’ : 「うつしき」展では古物もお願いしたんですが、鉱物の持つ時間が人間を超えた地球の時間だとすると、古物は人間の時間を遡るような、その二つを同時に見たいなあと思って。アジアの古物は日本の源流じゃないですけど、プリミティブなものも多そうですよね。

 

ono : 初めはアクセサリーを載せる台とか什器を探していて、時間が経ったテクスチャーに辿り着きました。その中でいろんな文献を読んだり実際に古道具屋さんで展示をしたり。インドとか海外では、人の手が作り出したものと、その中でも特に規格外なものが面白いなあと思って。時間が作り出した表情、規格外なもの、プリミティブなもの、その辺りが自分の中での古物のテーマですね。

 

 

 

 

cite’ : 「うつしき」に初めて伺った時、日本とかアジアの美意識というか空気感があるんだけど、同時にどこにも属さないような気配も感じて、onoさんがオーストラリアにいたという話を聞いて、なんとなく腑に落ちたんですよね。古い木造の鶏舎と銅板のファサード、その前にバナナの木が(元から)植えてあって、その妙なバランスに高揚しました。それがonoさんの面白さなんじゃないかなあと思ったんですよね。

 

ono : そうやって見てもらえるのはありがたいですね。日本的だったり、アジアだったりとか、それとはもうちょっと別でありたいというのはありますね。

 

 

cite’ : だからこれからどうなっていくのか楽しみなんですよね。「うつしき」については何かありますか?

 

ono : DMに書いてもらった通りなんですよね。それが全てを集約していて、時間という意味でも、古きも新しきも混在した今じゃないですか。地球が生み出したものと人の手で生み出したものという時間軸だったりとか、そういうのが前提にあって、あとはもういろんな人が絡んで行ける場所になっていけたらなあと思いますね。

 

 

cite’ : これから喫茶のスペース作ったりとか、物だけを扱う場というよりは、農作物を作ったり、それを使って食事を出したりとか、有機的な場所になっていきそうですね。

 

ono : 時間がとても足りなくてなかなかできないんですが、暮らしに興味があるんですよね。畑とか、衣食住とアートだったりとか音楽だったり、そういうものって確実に人を豊かにすると思うんですよね。人も物も全部好きなので(笑)、そういう場になっていけばいいですね。

 

 

 

 

cite’ : 「うつしき」展では、一つ一つが地球の一部である鉱物や、人間が残してきた古物、それを基にしたオノさんの作品でありながら、オノさんの言葉でもあるような気がしました。それが人の手に渡り、そこでまた新たな光を発するというか、意味を持つというか、そういった感覚が嬉しかったですね。

 

ono : 純粋に美しいと喜んでくれる事が嬉しいですね。そこから何かが始まるような気がします。

 

 

(終)

 

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